読書感想@佐藤多佳子『神様がくれた指』 [読書]
なんだか、おひさしぶりねの読書感想。
今回は、佐藤多佳子さんの『神様がくれた指』
この作家さんに関しては、全く前提知識ゼロ。
ただ単純に、棚に並んでいた本の中で、パッと目を惹くタイトルと、
背表紙に書いてあった、あらすじに興味をもったため。
少し前なら、『ビビッと来た』とでも言うのか・・・
さて、そんなこの作品。
主人公は、プロのスリ と 女装の占い師の2人。
スリ の男は、スリで捕まった刑務所から出所後に家に帰る途中で、
同じスリをチームで行なう少年に出会い、そこで、腕を怪我してしまう。
もう1人、占い師のほうは、ギャンブル好きで家賃も払えない程。
家賃を払うために借りたお金を再びギャンブルで使ってしまう。
この占い師が、怪我をしていたスリの男を、助ける事によって2人の人生が交わり、走り始める。
スリの男は助けてくれたお礼にと 占い師の借金を払い、
そのお礼として、住む場所を提供することで、奇妙な同居生活が始まる。
スリの男は、自分を傷つけたスリのチームの行方を探し、
占い師は、タロット占いから非常に気になる存在の少女と出会う。
それ以外にも、プロのスリ集団や、人情味あふれる刑事。
幼馴染の病弱な美女。
こういった人々が上手く絡み合い、話はテンポ良く進んでいく。
登場人物は、どれも怪しげな人ばかりなんだけど、どれもが人情味にあふれていて、江戸っ子風。
スリの手法も何度となく出てくるんだけれども、普通なら許せないはずなのに、
スリの側の視点から見ているためか、なんだか普通に思えてしまう。
タイトルの「神様のくれた指」が示すのはそんな ”プロのスリの手”と ”占い師の手”
2人が、悩んだり苦しんだりしているなかで、口には出さないまでも助け合っていく場面、
彼らの心情が細やかに描かれていて、なんだか心温まる話だった。
内容的には、ありえねぇ~ って場面は多々あるけれどね・・・
後半に進むにつれ、テンポアップして行ったためか、雑にまとまってしまった感もある。
とはいえ、意外に楽しめた作品だったね。
そんな訳で、点数としては、
★★★☆ (5点満点の3.5点)
(☆☆☆☆☆) くらいかな・・・
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