またまた、お久しぶりねの読書感想。
今回は、以前に江戸川乱歩賞を受賞している 薬丸岳さん。
1年ほど前の日記でも紹介したことある作家さん。
江戸川乱歩賞受賞の作品がデビュー作の『天使のナイフ』
その1年ほどあとに出た第2作目が『闇の底』
そして、本作が第3作目の『虚夢』

『天使のナイフ』

天使のナイフ

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本

は、”少年犯罪”を主題とし、その被害者の気持ちを考えるもの。
殺人を犯した少年が、軽い罰だけで社会復帰したんだけど、その後、少年が殺される。
で、被害者家族が疑われる・・
少年法、犯罪者の更正、被害者の気持ち・人権 など色々考えさせられる重い内容だった。
ナカナカ面白かった。

『闇の底』

闇の底

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/08
  • メディア: 単行本

少女を狙った性犯罪者が主題。
犯罪が起きるのと当時に、それを抑止しようと前歴者が首を切られて、殺されていく。
殺人犯は、性犯罪者に対して犯行声明文を送りつけ、世論を巻き込んだ論争にまで発展する。
性犯罪事件と、首なし殺人事件が同時に平行して展開し最後に、2つの事件が交わっていく・・・・。
最後の展開には、びっくりするのだが・・・
これも、被害者の人権とは? 犯罪者は刑を終えればそれでいいのか?
など、考えさせられる、いい内容だった。

そして、今回の『虚夢』

虚夢

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: 単行本

今回の主題は”心神喪失者”
”心神喪失者”の犯した通り魔殺人により、娘を殺された夫婦と
犯人でいて、精神鑑定により”心神喪失”だったと鑑定されて不起訴になった若者。
そして彼らを取り巻く人々。これらを中心に話は進む。

娘を殺された夫婦は、離婚してしまうが、その妻から「娘を殺した犯人を街で見かけた」と夫に連絡が入る。
出だしから、緊張感のある展開であり、
その犯人を捜す夫の視点と、犯人である若者の視点とが交互に記され、お互いの心情、苦悩、葛藤をうまく表現しながら、物語は進んでいく。

詳しくは、実際読んでね・・・ってなるんだけれど、
心身喪失の状態とは?殺人を犯そうとする心情とは?と考えさせる内容となっていて、
テーマは重いが、面白かった。

「心神喪失者の犯した罪は罰しない。」という法律と、
それでは、そもそも”心神喪失者”を決めるのは何なのか? という事。
来年から始まる『裁判員制度』でも、考えさせられることかもしれないね・・・

最後のどんでん返しには、かなり驚いたよ。。

そんな訳で、かなりお勧め。
東野圭吾好きなら、ゼヒ!!